ECサイトの競合調査ガイド|調査項目・分析手順・ツール活用の実践方法【2026年版】
EC市場は年々拡大しており、各ECモールに出店する店舗数も増加を続けています。こうした競争環境の中で成果を出すには、自社のデータだけでなく、競合の動向を把握した上で施策を立案することが重要です。
しかし、「競合調査が大事だとわかっていても、何をどう調べればいいかわからない」という声はよく聞かれます。本記事では、ECサイト運営者が競合調査を実施するための具体的な手順を、5ステップのフレームワークに沿って解説します。
楽天市場に特化した競合分析の方法や、ECモールの売上データを活用した分析手法も紹介しますので、自社の状況に合わせてお役立てください。
なぜEC事業者に競合調査が必要なのか
EC事業の運営では、自社の売上・アクセス・転換率などの内部データは管理画面で確認できます。しかし、内部データだけでは「自社の数値が市場の中でどのような水準にあるのか」を判断できません。
競合調査を行う目的は、主に以下の3つです。
1. 市場の中での自社の立ち位置を把握する
同じカテゴリの競合店舗と比較することで、自社の強みと弱みが明確になります。たとえば、自社の転換率がカテゴリ平均より低いことがわかれば、商品ページの改善が優先課題だと判断できます。
2. 競合の成功パターンから学ぶ
競合店舗の商品構成、価格設定、販促施策を調査することで、効果的なアプローチのヒントを得られます。自社でゼロから試行錯誤するよりも、競合の取り組みを参考にすることで改善のスピードが上がります。
3. 市場の変化を早期に察知する
EC市場は変化が速く、消費者のトレンドや競合の戦略は常に変動しています。定期的な競合調査を行うことで、市場の変化を早期に捉え、機会を逃さない体制を構築できます。
競合調査で見るべき5つの項目
EC事業における競合調査では、以下の5項目を重点的にチェックします。
項目1: 価格設定
競合が同じまたは類似の商品をいくらで販売しているかは、最も基本的な調査項目です。
確認ポイント:
- 主力商品の販売価格
- セール時の値引き幅と頻度
- 送料込み・送料別の価格設定
- クーポンやポイント施策の有無
価格だけの比較では不十分な場合もあります。送料・ポイント還元・セット割引を含めた「実質価格」で比較することが重要です。
項目2: 商品構成・品揃え
競合がどのような商品ラインナップを展開しているかを調査します。
確認ポイント:
- 取扱いカテゴリの幅と深さ
- SKU数(商品バリエーション数)
- 新商品の投入頻度
- オリジナル商品・PB(プライベートブランド)の有無
データ活用のヒント: Nint ECommerceでは、競合店舗の商品構成や各商品の推定売上を確認できます。手作業では把握しにくい「競合の売れ筋商品」をデータで特定することが可能です。
項目3: レビュー・口コミ
ECモールでは、レビューの件数と評価が購買決定に影響します。競合のレビュー状況を調査することで、顧客の不満点や求めているニーズを把握できます。
確認ポイント:
- 主力商品のレビュー件数と平均評価
- 低評価レビューに多い不満の内容
- 高評価レビューで評価されているポイント
- レビューへの返信対応の有無
項目4: 広告・販促施策
競合がどのような広告や販促を実施しているかも重要な調査項目です。
確認ポイント:
- モール内検索での広告表示(RPP広告・スポンサープロダクト等)
- セール・イベントへの参加頻度
- クーポンの発行状況と割引率
- ポイント倍率の設定
項目5: 市場シェア・売上規模
競合店舗がどの程度の売上を上げているかを把握することで、自社との差分を定量的に理解できます。
確認ポイント:
- カテゴリ内のシェア順位
- 推定売上の規模感
- 売上の成長率・トレンド
ただし、ECモールでは競合の売上データは公開されていません。この項目を正確に把握するには、EC市場分析ツールの活用が有効です。
競合調査の5ステップ
ここからは、競合調査の具体的な手順を5つのステップで解説します。
ステップ1: 調査の目的を明確にする
競合調査を始める前に、「何のために調べるのか」を明確にします。目的が曖昧なまま調査を始めると、集めた情報を活用できないまま終わってしまいます。
目的の例:
- 新商品投入前に、カテゴリの競争環境を把握したい
- 自社の価格設定が適切かを検証したい
- 広告投資の方針を見直すために、競合の動向を知りたい
- 売上が伸び悩んでいる原因を、競合との比較で特定したい
ステップ2: 競合店舗を特定する
次に、調査対象とする競合を選定します。すべての店舗を調べるのは非効率なため、3〜5店舗程度に絞ることをおすすめします。
競合の分類:
| 分類 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 直接競合 | 同じカテゴリ・価格帯で競合する店舗 | 同一モール内で同じ商品を販売する店舗 |
| 間接競合 | 異なるアプローチで同じニーズを満たす店舗 | 代替商品や異なるチャネルの競合 |
| 参考競合 | 直接競合ではないが、施策や運営の参考になる店舗 | 他カテゴリの成功店舗や業界リーダー |
データ活用のヒント: Nint ECommerceのカテゴリ別ランキングを使うと、特定カテゴリ内の上位店舗を推定売上データとともに把握できます。
ステップ3: データを収集する
調査目的と対象が決まったら、実際にデータを収集します。収集方法は大きく「手動調査」と「ツール活用」の2つに分けられます。
手動調査でできること:
- 競合の商品ページを直接確認して、価格・画像・説明文を記録する
- ECモールの検索結果から、競合の広告出稿状況を確認する
- 競合のレビューを読み、顧客の声を把握する
ツール活用でできること:
- 競合店舗の推定売上データの取得
- カテゴリ別の市場規模・シェア分析
- 時系列での売上トレンドの把握
手動調査は費用がかからない反面、時間がかかり、売上データなど非公開情報は取得できません。効率と精度を高めるには、手動調査とツールを組み合わせることが効果的です。
ステップ4: 収集データを分析する
集めたデータを整理し、自社と競合の差分を分析します。
分析の観点:
- 価格の差分: 自社と競合の価格差はどの程度か。価格競争に巻き込まれていないか
- 商品構成の差分: 競合にあって自社にない商品カテゴリは何か。自社だけが持つ強みは何か
- 市場シェアの差分: カテゴリ内での自社のポジションはどこか。シェアを伸ばせる余地はあるか
分析結果は、スプレッドシートなどに整理してチーム内で共有すると、施策立案の議論がスムーズに進みます。
ステップ5: 分析結果を施策に落とし込む
分析で得られた気づきを、具体的な施策に変換します。
施策立案の例:
| 分析結果 | 施策の方向性 |
|---|---|
| 競合が手薄なサブカテゴリがある | その領域に新商品を投入し、先行者優位を確保 |
| 競合の価格が自社より大幅に低い | 価格以外の価値(レビュー・セット・サポート)で差別化 |
| 競合のレビューで特定の不満が多い | その不満を解消する商品改良・訴求を強化 |
| 市場全体が成長しているカテゴリ | 広告投資を強化し、シェア拡大を目指す |
| 競合が広告を積極的に出稿している | SEOやSNS等のオーガニック集客で差別化 |
関連記事: ECサイトの売上アップ施策まとめ
楽天市場での競合分析方法
楽天市場は国内ECモールの中でも出店数が多く、競合分析の重要性が特に高いプラットフォームです。ここでは、楽天市場に特化した競合分析のポイントを解説します。
楽天市場の競合を特定する方法
楽天市場で競合を特定するには、以下の方法があります。
- 楽天市場の検索結果: 自社の主力キーワードで検索し、上位表示される店舗を確認する
- ランキング: デイリーランキングやリアルタイムランキングで、同カテゴリの上位店舗を把握する
- カテゴリページ: 該当カテゴリの人気店舗や売れ筋商品をチェックする
ただし、これらの方法では「どの店舗がどの程度の売上を上げているか」まではわかりません。
楽天RMSで確認できるデータの限界
楽天市場の管理画面(RMS)では、自店舗のアクセス数・転換率・売上などのデータは確認できます。しかし、競合店舗のデータは確認できないため、RMSだけでは「市場全体の中での自社の立ち位置」を正確に把握することが困難です。
ECモールの売上データを活用した競合分析
この課題を解決するのが、ECモールの売上データに基づく分析手法です。Nint ECommerceでは、楽天市場における以下のデータを確認できます。
- カテゴリ別の市場規模と成長率: 自社が属するカテゴリの市場全体の動向
- 競合店舗の推定売上・シェア: 同カテゴリ内での競合の売上規模とシェア順位
- 商品別の販売動向: 競合の売れ筋商品と価格帯の傾向
- 時系列トレンド: 月次・週次での売上推移とシーズナリティの把握
これらのデータを活用することで、「楽天市場で自社がどのポジションにいるのか」「どのカテゴリに成長機会があるのか」をデータに基づいて判断できるようになります。
よくある質問(FAQ)
Q: 競合調査はどのくらいの頻度で行うべきですか?
A: 最低でも月1回の定点観測をおすすめします。EC市場は変化が速いため、四半期に1回では重要な変化を見逃す可能性があります。特にセール前後や新商品投入時は、臨時で調査を行うと効果的です。
Q: 無料でできる競合調査の方法はありますか?
A: ECモールの検索結果やランキングの確認、競合の商品ページの閲覧、レビューの分析などは無料で実施できます。ただし、競合の売上データや市場シェアなどの定量情報は、専用の分析ツールを活用する方が効率的かつ正確です。
Q: 競合調査の結果をチームにどう共有すればいいですか?
A: 調査結果はスプレッドシートやダッシュボードにまとめ、定期的にチームに共有することをおすすめします。特に「競合との差分」と「そこから導き出される施策案」をセットで共有すると、議論が具体的になります。
Q: 競合が多すぎて調査しきれない場合はどうすればいいですか?
A: すべての競合を調査する必要はありません。直接競合(同カテゴリ・同価格帯)を3〜5社に絞って重点的に調査するのが効率的です。Nint ECommerceのカテゴリ別ランキングを活用すると、優先的に調査すべき競合をデータに基づいて特定できます。
まとめ
ECサイトの競合調査は、「自社の立ち位置を正しく把握し、データに基づいた施策を立案する」ための基盤となる取り組みです。
本記事で解説した5ステップを実践することで、競合調査を体系的に進めることができます。特に、ECモールの売上データを活用することで、手動では把握しにくい競合の売上規模や市場シェアも含めた分析が可能になります。
まずは自社の主力カテゴリで競合を選定し、今回紹介した調査項目に沿ってデータを収集することから始めてみてください。

■転載・引用について
※本記事の一部転載・引用は歓迎します。
本レポート・ブログの著作権は株式会社Nintまたは執筆者が所属する企業が所有します。
下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記してください。
【出典:株式会社Nint「ECサイトの競合調査ガイド|調査項目・分析手順・ツール活用の実践方法【2026年版】」https://www.nint.jp/blog/ec-competitor-research/(〇年〇月〇日公開・更新)】
引用時のリンク属性については:リリース転載ではなく、記事・グラフ・データの引用の際は、必ず本ブログページのURLを出典元としてご記載お願いします。
※nofollow属性不可
本記事で使用しているデータや市場規模に関する推計値を引用いただく際は、正確な表記と文脈を保っていただけますようお願い申し上げます。また、引用や再利用の際には、事前にご連絡をいただけると幸いです。
■禁止事項
・内容の一部または全部の改変
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的とした転載・引用
■その他の注意点
本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。この利用ルールは著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません。
■転載・引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社Nint マーケティング・ディビジョン
E-mail: marketing@nint.jp