新生活商戦は“3月だけ”がピーク? 3大ECモールの売れ筋から読み解く2026戦略
1月から始まる季節行事の中で、人が動き、新しい生活が始まる「新生活」は年間最初の重要な商戦です。一方で、「新生活商戦」はいつ頃から始まり、ピークは何月なのか。正確に把握している方は少ないのではないでしょうか。
今回、3大ECモールのデータをもとに、新生活に関わるジャンルを3つのカテゴリーに分類し「新生活市場」として定義しました。
※本記事は大手ECサイトにおけるNint ECommerceデータを元に執筆しています。

目次
新生活市場は「何月」が本番か
まず、新生活市場の年間推移を確認します。
今回、新生活に関わるジャンルを「家電」「インテリア」「日用品」の3カテゴリー、計24ジャンルに分類しました。各年の比較には、年間売上平均を100とした「季節指数」を使用しています。
※季節指数とは、年間売上の平均を100とした場合に、各月の売上水準を示す指標です。100を超えていれば平均以上、下回っていれば平均以下となります。

図1:3カテゴリーで構成される新生活市場の季節指数推移
図1は、上記3カテゴリー24ジャンルで構成される新生活市場の季節指数推移を示したものです。年間を通して見ると、12月(年末商戦)や7月といった大型販促期に売上の山が形成されており、本分析で定義した市場が、年間を通じて需要喚起や販促施策に反応する特性を持つことが分かります。
一方で、これらの大型販促期とは異なるタイミングとして、3月にも明確な売上の山が確認されます。3月前後の動きを見ると、2月・4月はいずれも季節指数が100を下回っており、年間の中でも3月のみが平均を明確に上回る水準となっています。
このことから、今回定義した3カテゴリー24ジャンルは、年末商戦やモールセールといった大型販促期に加え、新生活時期にも反応する市場であり、新生活市場としての定義は妥当であると言えます。また、新生活需要は複数月に分散して発生するのではなく、新生活が始まる前段階である3月に集中的に発生している可能性が示唆されます。
以降では、この特徴が最も明確に表れる3月単月に着目し、各年の売上推移を中心に詳しく見ていきます。
新生活市場(3月)の3年推移
3月単月の市場推移を見ていきます。対象は2023年から2025年の3年間です。
今回は、2023年3月の売上・数量を軸に、それぞれの変化と平均単価推移を確認いたします。

図2:新生活市場(3月)の売上・数量(2023年3月ベース)と平均単価推移
2023年から2024年にかけて、売上と平均単価は減少しました。
一方で、販売数量は微増しています。
このことから、2024年は比較的単価の低い商品が、より選ばれた可能性が読み取れます。
2024年の単価低下については、複数の要因が考えられます。例えば、コロナ禍明けのオフライン回帰が進んだことで、高単価商品は実店舗での購買が相対的に増え、ECでは「店頭にない商品」や「低価格帯の商品」に需要が寄った可能性があります。
しかし、2025年3月には状況が変わりました。売上・平均単価ともに回復し、過去3年で最高水準となっています。
この回復の背景には、消費者がECを選ぶ理由が再評価された可能性があります。具体的には、多くの商品が「EC+オフライン」の両方で展開されており、2024年に実店舗で商品を確認した消費者が、同じ商品をECでも購入できることを改めて意識するようになった可能性があります。さらに、品揃えが同等であれば、日付指定配送、豊富な決済方法、ポイント還元といったECならではの利便性も購買の後押し要因になり得ます。また、経済産業省の調査でも「オンラインとオフラインの融合」がEC市場拡大の要因として挙げられており、こうした環境変化も今回の動きに影響した可能性があります。
こうした状況を踏まえると、「同じ商品なら、ECで買った方がメリットが大きい」という判断が広がり、購買がEC側に戻った可能性があります。
その結果として、2024年に実店舗へ流れていたとみられる高単価商品の購買がECでも増加し、売上・平均単価の回復につながった可能性が考えられます。
3カテゴリーの構成比推移
3カテゴリーの売上構成比を確認します。

図3:3カテゴリー売上構成比年間推移(各年3月)
インテリアと家電で全体の約80%を占めています。日用品は約20%ですが、毎年安定して成長しています。
構成比自体に大きな変動はありません。ただし、「3月に最も売上が伸びるカテゴリー」には明確な差があります。
3月に最も反応するカテゴリーは?
3カテゴリーの季節指数を比較します。

図4:3カテゴリーの季節指数月別推移
3月の季節指数は以下の通りです。
インテリア:126
日用品:110
家電:101
インテリアカテゴリーが突出しています。
新生活では「住む場所が変わる」ケースが多く、ベッド・カーテン・収納家具といったインテリア商品の需要が高まります。家電や日用品は既に持っているものを継続利用できますが、インテリアは引越しに伴い買い替えが発生しやすいカテゴリーです。
インテリアの中で最も反応するジャンル
インテリアカテゴリーをジャンル別に分解します。

図5:インテリアカテゴリー ジャンル別季節指数(3月)
3月の季節指数が高いジャンルは以下です。
ベッド・マットレス:140
デスク・机:140
収納家具:134
ベッド・マットレスジャンルが3月時の季節指数が最も高く、また、売上規模もインテリアカテゴリー全体の約20%を占めています。このことから、ベッド・マットレスジャンルは、新生活市場で最も需要が高まるジャンルの一つと言えそうです。
ここまでで、新生活需要時期が3月に集中し、カテゴリーでは「インテリア」が反応し、「インテリア」の中でも「ベッド・マットレスジャンル」が新生活需要で最も反応することが分かりました。
つまり、ベッド・マットレスジャンルが最も「新生活市場の特徴」を表す可能性が高いジャンルと判断できます。
どのような特徴があるのか、深堀していきます。
ベッド・マットジャンルの特徴
ベッド・マットジャンルを詳しく見ていきます。
今回は、各年の売上TOP100商品がどのような価格帯で構成されているのか、また、商品にはどのような「キーワード」が使われているのか。から、ジャンルを深堀りします。
売れ筋価格帯

図6:ベッド・マットジャンル価格帯別売上構成比
TOP100商品の売上を価格帯別に集計すると、1.5万円から2万円の価格帯が全体の85%以上を占めています。
一方、2025年は高価格帯商品のランクイン数が増加しました。7万円以上の商品は、2024年の6品から2025年は13品と倍増しています。
売れ筋キーワード

図7:ベッド・マットジャンル TOP100の頻出キーワード
TOP100商品の商品名から頻出キーワードを抽出しました。
「シングル」「マットレス」「高反発」は3年連続で上位です。2025年の変化として、「セミダブル」「ダブル」の出現頻度が上昇しています。
サイズ別販売数量

図8:TOP100商品におけるサイズ別販売数量推移
サイズ別の販売数量を見ると、変化がより明確です。
セミダブルの販売数量は、2023年から2025年で約3倍に増加しました。クイーンサイズ以上の販売数も同様に伸びています。
背景には、「一人暮らしでも広いベッドで寝たい」「二人で使うので大きいサイズが欲しい」というプチ贅沢のニーズが増えているのではないでしょうか。
また、セミダブルやクイーンは実店舗での在庫が限られます。大型サイズはECで探す、という購買行動が定着しつつあります。
ベッド・マットジャンルから見える3つの特徴
ベッド・マットジャンルの分析から、その特徴を3つにまとめました。
特徴1:プレミアム商品の台頭
2024年は6品、2025年は13品と7万円以上の商品が売上TOP100商品内に多くランクインし始めています。プレミアム商品には、「質」や「機能性」が求められることが多いため、言い換えるとこの動きは、「睡眠に投資する」という意識を持つ消費者が増えていると言えそうです。
特徴2:品質回帰
低価格帯(5千円から1万円)の販売シェアは減少しています。2024年の「とりあえず安いもの」から、「納得できるものを買う」へ消費者の意識が変わりました。
特徴3:ECの強みが活きる商品
セミダブル・クイーンなど大型サイズは、実店舗で在庫が少なく、持ち帰りも困難です。
「重い」「大きい」「持ち帰れない」という実店舗のデメリットは、ECではむしろ強みになります。
自社商品に置き換えると?
ベッド・マットジャンルの特徴を、自社商品に置き換えて考え、ぜひ一度確認をしてみてください。
チェック1:高価格帯商品の動向を確認する
自社商品の中で、高価格帯の売上はどうなっているでしょうか。2024年と2025年をぜひ比較してみてください。
伸びている場合、ひょっとするとプレミアムライン強化が有効の可能性がありますので、商品戦略の一つとして検討してみてください。
チェック2:納得感のある訴求ができているか
価格が安くても「選ばれる理由」がなければ売れません。
ぜひ、ご自身の販売商品の差別化ポイントが商品名・説明文で伝わっているかをご確認ください。消費者が「これなら納得」「使用するイメージがクリアに見える」と思える情報を提供することが、差別化のポイントです。
チェック3:自社商品を切り口別に分類する
「色」「サイズ」「形状」など、価格以外の切り口用意して、売上を確認してください。
ベッド市場ではセミダブルという「サイズ」において隠れた需要が見つかりました。自社商品にも、同じような需要が隠れているかもしれません。
また、「重い」「大きい」商品は実店舗で売りにくい分、ECとの相性が良い傾向があります。これらの商品切り口を変えて分析することで「思わぬヒント」が見つかるかもしれません。
市場データの確認にはNint ECommerce
「自社ジャンルの市場規模を知りたい」
「競合の売上を把握したい」
「売れ筋商品の傾向を確認したい」
このような課題には、Nint ECommerceをご活用ください。

Nint ECommerceは、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの売上・販売個数が分かるデータ分析サービスです。
分かること
・市場規模:ジャンルの売上・成長率
・競合状況:競合企業の売上・シェア
・売れ筋商品:どの商品がどれくらい売れているか
本記事で紹介した分析を、自社ジャンルでも実施できます。
現在、7日間の無料トライアルを実施しています。新生活商戦に向けた市場把握にご活用ください。
無料トライアルのお申込みはこちら
https://www.nint.jp/ec/contact/
また、AIが膨大なデータを分析して要点を整理する「AIインサイトレポート」を利用もおすすめです。複雑な市場動向の裏側にある勝機を迅速に見つけ出し、次の一手を確信を持って打つことが可能になります。

即戦力のEC人材をお探しの場合は、『EC Talent』にご相談ください。

調査概要
- 対象期間:2023年〜2025年
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:家電・インテリア・日用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
■転載・引用について ※本記事の一部転載・引用は歓迎します。
本レポート・ブログの著作権は株式会社Nintまたは執筆者が所属する企業が所有します。
下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記してください。
【出典:「新生活商戦は“3月だけ”がピーク? 3大ECモールの売れ筋から読み解く2026戦略」(2026年1月30日公開)】
引用時のリンク属性について:リリース転載ではなく、記事・グラフ・データの引用の際は、必ず本ブログページのURLを出典元としてご記載お願いします。
※nofollow属性不可
本記事で使用しているデータや市場規模に関する推計値を引用いただく際は、正確な表記と文脈を保っていただけますようお願い申し上げます。また、引用や再利用の際には、事前にご連絡をいただけると幸いです。
■禁止事項
・内容の一部または全部の改変
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的とした転載・引用
■その他の注意点
本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。この利用ルールは著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません。
■転載・引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社Nint マーケティング・ディビジョン
E-mail: marketing@nint.jp