【元楽天ECCが解説】楽天スーパーSALEの売上UP施策|広告・クーポン活用術
楽天市場の出店店舗様にとって、3ヶ月に1回開催される楽天スーパーSALEは最大の商戦です。テレビCMや特設ページとの連動により、通常時の数倍〜数十倍ものアクセスが集中し、売上を大きく伸ばす絶好のチャンスとなります。
一方で、「どんな準備をすればいいかわからない」「広告費を増やしても費用対効果が見合わないかも」といった不安を抱える店舗も少なくありません。
「時間とコストをかけて対策しても、本当に売上は伸びるのか?」「販促費や広告費を増やしても費用対効果が見合わないのでは?」といった不安は、多くの店舗様が抱える共通の悩みです。
本記事ではこうした不安を解消し、楽天スーパーSALEで売上を確実に伸ばすための実践ガイドをお届けします。事前準備から本番運用、セール後の分析まで、時系列に沿った明確なアクションプランと共に楽天スーパーSALEでの成功の足掛かりづくりをサポートします。
目次
1. 楽天スーパーSALEの基本ガイド:売上を伸ばすための全体像
楽天スーパーSALEで成果を出すためには、行き当たりばったりの施策ではなく、計画的な準備が欠かせません。まずはその全体像を押さえましょう。
1.1 楽天スーパーSALEとは?売上が跳ね上がる理由
楽天スーパーSALEは、年に4回(3月・6月・9月・12月)開催される楽天市場全体が巨大なトラフィックを獲得するためのお祭りイベントです。ユーザーにも「最もお得なイベント」と認識されているため、ユーザーの購買意欲は非常に高く、施策次第で普段の売上の数倍、数十倍を超える月商を記録したり、中には数ヶ月分の月商をわずか数日で叩き出す店舗様も少なくありません。このように楽天スーパーSALEは楽天内での売上拡大を実現するにあたって欠かせない最大のイベントとなっています。
スーパーSALEの期中でも、以下のタイミングは最も売上が上がりやすく、これらのタイミングに合わせて施策実行や事前告知を行うのが効率的な売上最大化の鉄則です。
- スタートダッシュ(開始後4時間): アクセスが最も集中するゴールデンタイムです。ここで売上を立てることが、期間中のランキングや検索順位を左右し、2日目以降の売上にインパクトを与えます。
- 「5と0のつく日」: 楽天カード利用でポイント倍率が上がるため、楽天市場のロイヤルユーザーの買い物が集中し、セール期間中の「5日」と「10日」は特に売上の大きな山場となります。
- 最終日の駆け込み需要: セール終了が近づくと、「買い忘れはないか」という損失回避心理が働き、再びアクセス及び購入が急増します。
これらのピークタイムを意識し、既存ユーザー限定オファーや、広告の投下、限定クーポンの発行を連動させることが、期間中の売上を最大化する鍵となります。
1.2 楽天スーパーSALEチェックリスト
以下のチェックリストは、スーパーSALEを成功に導くための網羅的かつ時系列な計画表です。
楽天スーパーSALE準備チェックリスト
以下は、セールの成功率を高めるための売上アップ施策の時系列チェックリストです。
楽天スーパーセールの売上を最大化するためには、開催1.5か月前から段階的に準備を進めることが重要です。以下のステップで整理しましょう。
◆ 約1.5か月前:戦略・商品企画
- 売上・利益目標と広告予算を策定する
- 「目玉商品」を選定し、割引率を決定する
- レビューを蓄積(⭐4.0以上・5件以上が目安)
- スーパーSALEサーチへの商品登録申請を行う
- イベント見分け枠へのエントリーを完了させる
◆ 約1か月前:申請・商品準備
- 「1,000円ポッキリ商品」を企画・準備する
- クーポン戦略の全体設計を行う(新規・単価・リピート別)
- TDA広告の掲載準備を進める(審査期間を考慮)
◆ 約2週間前:ページ・広告準備
- スーパーSALE専用の特集ページを制作する
- セール用バナーや商品画像を準備・差し替える
- RPP広告やクーポンアドバンス広告の設定を完了する
◆ 開始4日前〜:告知・仕込み
- イベントページ・バナーを店舗内で公開する
- メルマガ・LINE・SNSで事前告知を開始する
- 「お気に入り登録」促進施策を実施する
◆ セール期間中:実行・調整
- 時間帯に応じて広告予算・CPCを動的に調整する
- スタートダッシュ、5と0のつく日、最終日に合わせてクーポンを発行する
- 商品・店舗別の売上を時間単位でモニタリングする
◆ セール終了後:フォロー・分析
- 購入者にフォローアップメールを配信する
- サンキュークーポンの効果を測定する
- 売上・広告・クーポンデータを分析し、次回への改善施策を策定する
2. 事前準備で売上が9割決まる!楽天スーパーSALE成功の基本戦略
スーパーSALEの成否は、セール開始前に9割が決まると言っても過言ではありません。戦略的に楽天スーパーSALEに取り組み、自社の成長の糧に繋げましょう。
2.1 商材ごとの役割を明確にして売上を最大化
すべての商品を均一に割引するのは非効率です。商品の役割を明確に定義し、戦略的に「新規獲得商材」と「利益獲得商材」のラインナップを構築する必要があります。
- 目玉商品: 店舗への圧倒的なトラフィックを生み出す「集客装置」です。50%OFFなどの高い割引率を設定し、スーパーSALEサーチへの登録や在庫量次第でイベント見分け枠への掲載を狙います。爆発力の高い商材となるので、事前の在庫準備や目玉商品用に利幅をした戦略商品の準備が重要となります。
- 入口商品: 目玉商品で集めたアクセスを新規顧客へと転換させるための商品です。送料無料や手頃な価格で、初めての購入に対する心理的ハードルを下げます。商品ジャンルにもよりますが、3,000円以下の商品が理想です。一度購入してもらえれば、将来の優良顧客の育成へと繋がったり、販売実績の積み上げにより検索順位が向上し、新規顧客獲得商材として機能するようになります。
- 利益獲得商材:ついで買いを促すための「コンビニのレジ前商材」や「松竹梅戦略の松」に該当するイメージです。利益率や利益額が高い商材を購入してもらうためのセット買い施策やラインナップの見せ方で利益獲得商材への購入誘導を行います。
2.2 買い回り施策で売上を底上げする「1,000円ポッキリ戦略」
「ショップ買いまわり」は、1,000円以上の購入をした購入店舗数に応じてポイント倍率が上昇するキャンペーンで、多くのユーザーが「買いまわり対象の最低金額の1,000円(税込)で何か良いものはないか」と探します。イベント後半に進むにつれその需要が大きくなります。自社でそんなに低単価の商品がないという場合でもお試し容量での販売や戦略的1,000円ポッキリ商品の開発を検討してみましょう。
2.3 CVRを高める売場設計
アクセスを集めても、店舗の売場が魅力的でなければ売上にはつながりません。
- イベント専用ページ(特集ページ): 対象商品やクーポン情報を一箇所に集約した専用ページを作成し、ユーザーの回遊性を高めます。店舗のチラシのような役割を果たします。
- セールバナーの設置: 店舗の目立つ位置にセール参加を告知するバナーを設置し、特集ページへ誘導します。
- 商品画像の最適化: クリック率(CTR)を左右する最重要要素です。商品画像の1枚目に「〇%OFF」といったセールアイコンなどを追加し、検索結果画面で視覚的に訴求力を高めましょう。
2.4 告知期間の設計で初速を作る
これまで紹介した施策でも新規顧客に対してアプローチするのか、既存顧客にアプローチするのかでは転換率に大きな差が出ます。楽天のランキングや検索順位は一定期間での販売実績が重視されるので、イベントでの売上最大化を実現するためには短期間での売上実績創出が鍵になります。ですので、まずは購入率の高い既存顧客に施策を案内し、既存顧客からの購買によるランキング効果や検索順位向上効果を元により多くの新規顧客にアプローチしていくのが鉄則です。
3. 楽天スーパーSALEで売上を伸ばす広告運用術
スーパーSALE期間中の運用型広告のクリック単価は高騰し、競争は激化しますが上手く活用することでコストではなく、利益を生む投資に変えることができます。
3.1 RPP広告での売上最大化テクニック
セール期間中のRPP広告は日次単位、場合によっては時間単位でのアクティブな管理が求められます。楽天市場全体のトラフィックの波に合わせて広告費の投下量もダイナミックに変動させることで、ROASの最大化を狙います。
- 告知期間(セール開始4日前~)の露出確保
多くのユーザーがスーパーSALE開始前からお目当ての商品を検索し、お気に入り登録をします。CPCは中程度に設定し、まずは「見つけてもらう」ことを目指します。 - 初日のスタートダッシュ及び「5と0のつく日」の最大露出
アクセスが最も集中するこの時間帯は、予算とCPCを大幅に引き上げ、全力で露出を奪いに行きます。 - 最終日のラストスパート
セール終了間際の駆け込み需要を捉えるため、再び予算とCPCを強化します。
また、イベント時には「ランク別入札最適化機能」を活用して、楽天市場の会員ランクに応じて入札単価の最適化をしましょう。購入者の8割程度がダイヤモンド会員やプラチナ会員であるため、これらの高ランク会員に対して広告を優先的に表示できます。
3.2 クーポンアドバンス広告の効果的な使い方
クーポンアドバンス広告は、検索キーワードに連動して表示される広告で購入意欲が高いユーザーに個別最適化されたクーポンを表示する広告です。クーポン販促が可能な商品に絞って活用し、RPP広告で集客したユーザーへの「最後の一押し」として使うのが効果的です。
3.3 TDA広告で狙う売上拡大
楽天TDA広告は自社で希望するセグメント条件で広告の配信できる唯一のターゲティングバナー型の運用型広告です。
任意のセグメントに対して配信することができるので、「認知獲得」「リターゲティング」「競合ターゲティング」など商品毎の課題感に合わせた露出を行うことができます。また、バナー型の広告で文字入れも可能ですので、より具体的な訴求を行うことが可能です。事前にバナーを用意したり、特にイベント前は審査期間が長く計画的な準備が必要ですが、広告戦略の幅を広げることのできる媒体なので積極的に活用していきましょう。
4. クーポン活用で売上とリピートを両立
クーポンは単なる値引きツールではなく、新規顧客獲得、客単価向上、リピート促進といった課題を解決する武器となるので、自社の課題感に応じて活用しましょう。
4.1 目的別のクーポン戦略
- 目的1:新規顧客獲得
「開始2時間限定や開始限定4時間限定〇〇%OFF」のような時間限定クーポンは、強烈な緊急性を生み出し、購入を後押しします。 - 目的2:客単価の向上
「〇〇円以上のご購入で〇〇円OFF」といった3段階の松竹梅クーポンを発行し、ユーザーにもう一品追加するインセンティブを与え、客単価を向上させます。 - 目的3:リピート顧客の育成(LTV向上)
最も簡単なリピート施策は「サンキュークーポン」です。商品購入完了後に自動で付与され、次回の買い物で使えるこのクーポンは、新規顧客が2回目の購入に至るF2転換率を促進する上で最も強力なツールの一つです。
また、クーポンは一度取得してもらうことにより、利用期限前に自動的にユーザーに通知が届きます。それにより、購入意欲の高いユーザーの再来訪につながるので、積極てにクーポン取得を促すことによって、集客ツールとしても活用することが出来ます。
4.2 サンキュークーポンでリピート率を高める
スーパーSALEで効率的に獲得した新規顧客の囲い込むには、サンキュークーポンが最適です。リピートの間隔は商材ジャンルに依存しますが、有効期間を「1ヶ月のお買い物マラソンの終了日」や「次回スーパーSALEの最終日」など短めに設定し、次回の楽天スーパーセールやお買い物マラソンにつなげましょう。
2024年4月以降、ショップクーポンの利用に手数料が発生するようになりましたが、サンキュークーポンは2025年8月現在、手数料無料となっています。
5. 楽天スーパーSALE終了後の分析で次回の売上UPへ
スーパーセールは、終了した瞬間から次の戦いが始まります。セール施策で得たデータを次なる成長の糧へと変えましょう。獲得した顧客とデータが店舗成長のための何よりの資産です。
5.1 データ分析で成功を再現する
成功を再現可能なものにするには、厳密なデータ分析が不可欠です。
- 分析すべき主要指標:
- 売上とアクセス: どの曜日や時間帯が最も売上が上がったか?アクセスや転換率はいつ高くなったか?などを実際のデータで振り返り、スーパーSALEでのユーザー動向の深化に活用します。
- 商品別実績: どの商品が最も売上やアクセスを呼び、新規顧客の獲得効率が高かったか?などを実際のデータで振り返ることで、商品毎の施策やイベントとの相性を学び取ります。
- 広告パフォーマンス: 商品毎のROASやCPAなどの結果指標やCTRやCVRなどの間接指標、キーワード毎のデータを振り返り、イベント時の自社の広告活用術へと徐々に落とし込みます。
- クーポン実績: どのクーポンの利用率が高かったか?客単価向上や転換率の大幅UPに寄与したか?を確認します。
- 顧客分析: 新規顧客とリピート顧客の比率や既存顧客、新規顧客を想定通り動かせたか?新規・既存ごとの顧客獲得コストは合っていたかなどを振り返り、最適な新規・既存向け施策構築に繋げます。
また、分析の際に重要なのが、過去のスーパーSALEとの比較や可能な限り取得可能なデータを用いながら他店舗との相対的な分析を行うことです。このデータドリブンな振り返りこそが、継続的に成長する店舗とそうでない店舗を分ける決定的な要因となります。これらの分析を元に次回のスーパーSALEではどのような改善アクションを行うかを明確化しましょう。
まとめ:楽天スーパーセールで売上を最大化するために
楽天スーパーSALEにおける成功は、「戦略的計画」と「事前準備の実行力の高さ」及び「データドリブンな改善サイクルの構築」という3つの柱の上に成り立っています。
楽天スーパーSALEという巨大イベントは、準備なくしては大きなリターンを得ることが出来ないイベントですが、本稿で示した体系的なアプローチを取ることで、将来的な利益をもたらす成長エンジンとなります。本記事を元に、楽天スーパーSALEでの成果最大化を実現しましょう。
この記事を書いた人

村井宏海
EnterCommerce株式会社 代表取締役
学生時代にエンタメスタートアップの関西での事業立ち上げに参画。大学卒業後、楽天のECコンサルタントとして累計1,000社以上のEC事業支援に携わり、楽天賞を複数回受賞。その後、事業戦略部門でファッションEC事業立て直しプロジェクトに携わり、様々なプロジェクトを横断的にリード。17LIVE株式会社に入社し、ライブコマース事業「HandsUP」の事業責任者として立ち上げから携わり、国内導入数No.1のライブコマースサービスへの成長を牽引。2024年末に退職し、ソーシャルコマースをやライブコマースを支援するEnterCommerce株式会社を創業。
Nint ECommerceに関して

日本国内のEC市場の約7割を占める3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の売上・販売数量をモール別、ジャンル別、ショップ別、商品別に分析できる画期的なツールです。Nint ECommerceを活用いただくことで、以下のイベント対策を効率的にサポートしています。
活用例
商品在庫(SKU単位)の拡充
・競合価格を見ながら自社の販売価格を設定
・競合のポイント倍率を見ながら自社のポイント倍率を設定
・商品名(商品情報)での差別化
・検索露出(RPPなど)の強化
Nint ECommerceを活用することで、ECビジネスチャンス創出に役立ちます。ご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりNint ECommerceの詳細をご確認ください。
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【出典:「【元楽天ECCが解説】楽天スーパーSALEの売上UP施策|広告・クーポン活用術」(2025年11月11日公開)】
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