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楽天RPP広告とは?仕組みと費用対効果を改善する7つの運用ポイント

#ECモール運営ノウハウ #マーケティング #楽天市場 #販促ノウハウ

楽天市場での店舗運営において、「楽天市場で自社商品を効率的に検索上位に表示したい」と多くの出店者様から聞くお声です。
実際、楽天市場の店舗流入のうち約3〜5割は検索経由です。RPP広告(旧CPC広告)は、検索画面に自社の商品を上位表示できる広告メニューとなっており、効率的に活用することで自社の売上拡大に貢献できる一方で、運用や設定方法が複雑な仕組みのため、クリック単価(CPC)の高騰や効果改善に悩むケースも多くあります。  

RPP広告は、特定キーワードで商品を探す購入意欲の高い顕在層に直接アプローチできる検索連動型広告です。戦略的に活用することで、短期的なROAS(広告費用対効果)最適化だけではなく、自然検索順位の向上や競合店舗からのシェア奪取に活用することができます。
本記事ではクリック単価を下げ、ROASを最大化し、持続的な売上向上を実現するための具体的なノウハウを解説します。

RPP広告の仕組みを理解する(大前提)

RPP広告は楽天市場の検索画面に表示される広告でPC検索結果では上位5枠、スマホ検索結果では上位7枠に表示されます。RPP広告の掲載順位も、自然検索の掲載順位も「特定のキーワード経由でのCTR(クリック率)やCVR(転換率)が高い商品を優先的に表示する」と言われています。
また、CTRやCVRが高い商品はクリック単価も低く抑えることができるようになります。

考えてみれば自然なのですが、楽天市場内で特定の商品名で検索をする人に対して適切な商品を表示したいというプラットフォーマーとしての楽天市場の意図が存在します。RPP広告の最適化のためには、楽天市場がプラットフォームとして、ユーザーにどのような商品を優先的に表示したいかを理解することが重要です。

楽天RPP広告の費用対効果を改善する7つのポイント

ポイント1:RPP広告の基本ルールを理解する

楽天RPP広告の費用対効果を改善する第一歩は、3つのCPC(クリック単価)階層を理解し、戦略的に使い分けることです。

キャンペーンCPC

キャンペーン配下の商品全体に適用される「デフォルト」の入札単価。最低10円から設定可能ですが、他店舗もデフォルトの設定で10円にしていることが多いため、まずは11円程度から設定してみるのがおすすめです。

商品別CPC

特定の商品に個別に設定する入札単価。キャンペーンCPCより優先され、注力商品の露出強化に使います。注力商品やROASが高い商品は優先的に商品別CPCを設定しましょう。

キーワード別CPC

特定の商品が、指定キーワードで検索された場合にのみ適用される最も強力な入札設定で、キャンペーンCPCや商品別CPCより優先されます。最低入札単価は40円からと高めですが、競合商品からのシェア奪取や高転換率が期待できるスモールワードでなど特定のワードで必ず自社商品を表示したい際には積極的に活用していきましょう。

入札の優先順位は「キーワード別CPC > 商品別CPC > キャンペーンCPC」です 。
まずはキャンペーンCPCを11円などの低価格に設定します。自社の商品が掲載されているかを確認した上で、注力商材やCTRやCVR、ROASが高い商材を優先的に商品別CPCやキーワード別CPCの設定を行なっていきます。戦略的に使い分けることで、RPP広告の費用対効果を最大化できます。

ポイント2:「除外設定」で低パフォーマンス商品を排除する

RPP広告の初期設定では、在庫のある全商品が広告対象となってしまいます。利益率が低い商材や転換率が低い商材、低単価でROASが合わない商材などは除外設定を行いましょう。費用対効果改善の第一歩は、無駄を最小限にすることから始まります。  

RMSのデータに基づき、以下のような商品はRPP広告で除外設定することを推奨します 。  

  • 利益率の低い非リピート商材:広告費が粗利を上回る商品は、売れば売るほど赤字になります。商品単価 × 粗利率で算出することが出来る限界ROASを参考に商品毎の基準ROASを設定しましょう。限界ROASとはリピートを前提としない商材で赤字にならないROAS基準を導き出すための指標です。
    例:5,000円の商品で粗利率が50%の場合の限界ROASは5,000円 × 50%で2,500円となり、2,501円以上の広告費を投入すると赤字になります。
  • 転換率(CVR)の低い商品:クリックは多くても売れない商材はLP、オファー設計、レビュー点数など何かしらに課題があります。LP改善や競合商材との比較が完了するまで除外しましょう。新商品の場合も転換率が低くなりますが、新商品はCVRが低くなりがちですが、まずはレビュー10件以上の獲得を目標にしましょう。
  • 在庫・SKU欠け商品:CTRが高くとも、ユーザーの希望するSKUや配送納期でなければ最終的な注文には至りません。特定のSKUだけ在庫が残ってしまった場合は、商品の第一画像も在庫が残っているSKUに設定しましょう。そうすることで、ユーザーの期待値とのズレがなくなり、CVRが上昇し、表示CPCが安くなりやすいです。
  • 自然検索で既に上位表示されている商品:自然検索で既に上位表示されている商品のRPP設定優先順位は低いです。ただし、競合からのシェア奪取や新しいキーワードベースでの新市場進出を狙う場合は積極的に、上位表示商材でもRPP広告を活用していきましょう。
    新市場進出の例:家庭用(自分用)需要メインで販売していた梅干しをギフト対応を開始し、「母の日 ギフト」関連ワードを狙う場合など。

除外設定はRMSのプロモーションメニューのRPP広告タブの「除外商品」から設定できます。短期または中長期でそれぞれ時間軸はありますが、利益を生む可能性が高い商品群にのみ予算を集中投下することで、RPP広告の最適化が実現できます。 

ポイント3:CTRを改善してクリック単価を下げる

RPP広告の表示順位は入札額に加えて、広告商品の品質も加味されます。その品質とは「CTR」で測られます。プラットフォーマーである楽天からすると、クリック率が高い商材がユーザーの検索意図とあった商材と考えるのは極めて自然です。「CVR」も当然加味されますが、先行指標であるCTRにまずは注力しましょう。

CTRを上げれば、入札CPCを下げられます。CTR向上のためには、以下の4要素の改善が不可欠です。

1.商品画像(サムネイル)の最適化

魅力的なサムネイルに加え、「楽天1位」や「送料無料」「クーポンで〇〇OFF」といった付加価値を示す文言を入れると効果的です 。A/Bテストで効果を検証するのがおすすめです。

2.商品名の最適化

「クーポンで〇〇OFF」や「〇〇円OFF 楽天スーパーSALE限定」など重要なキーワードやベネフィットを前半に配置し、ユーザーの検索意図に合った具体的な言葉で記述します 。  

3.レビューの蓄積

レビューの数と評価は信頼性の証であり、CTRに直接影響します。新商品であっても、ジャンル上位を目指す場合はまずはレビュー件数10件以上、レビュー点数4.2点以上を目指しましょう。  

4.検索画面のアイコン表示最適化

クーポン発行によるクーポンアイコンの活用や、ポイント変倍、送料無料などを設定することでそれぞれのアイコン表示の最適化ができます。

上記のような施策によるCTR向上は、楽天市場のアルゴリズムからの高評価に繋がり、低CPCと将来的な自然検索順位の向上という好循環を生み出す可能性が高くなります。

ポイント4:CVRを改善してROASを最大化する

「ワンピース」のようなビッグキーワードは競合が多く、クリック単価が高騰しがちです。それに加えて、ビッグワードだからこそ、購入意欲の低いユーザーからのクリックも増え、ROASを悪化させる原因となります 。費用対効果の高い戦略は、購入確率の高いユーザーからの「転換(コンバージョン)」を狙うことです。その鍵は「ミドルキーワード」と「スモールキーワード」にあります。  

  • ミドルキーワード: 「リネン ワンピース 夏」など、より具体的な2語以上の組み合わせ。ニーズが具体的で、購入意欲が高まります 。  
  • スモールキーワード: 「リネン ワンピース 夏 7分袖 黒」など、非常に具体的な3語以上の組み合わせ。検索数は少ないですが、転換率は非常に高くなります 。  

これらの「宝のキーワード」は、RMSの「R-Karte」や楽天サジェスト、競合の商品名分析、Googleトレンドなどを活用して発見できます 。見つけた高転換キーワードに「キーワード別CPC」を設定することで、精度の高い広告運用が実現します 。さらに、広告で特定キーワードの売上実績を積むことは、そのキーワードの自然検索順位向上=『SEO投資』にもつながります。  

ポイント5:楽天イベントや「5と0のつく日」に入札を強化する

  • イベント期間(楽天スーパーSALE、お買い物マラソン等):イベント期間中はトラフィック及びCVRが激増するため、必要CPCを引き上げ、機会損失を防ぎます。ユーザーはイベント期間中に購入する商品をイベント前から探し始めるため、イベント開始の2〜3日前から少しずつ入札の強化を始めましょう。このタイミングでは競合店舗もCPC単価を引き上げるため、自店舗のCPC単価を引き上げる必要があります。
  • 「5と0のつく日」:楽天ロイヤルユーザーの購買意欲が高まるため、必要CPCを引き上げしょう。  

昨年導入された「ランク別入札最適化機能」は、高ランクユーザーへの入札を自動で強め、低ランクユーザーへの入札を弱めることでRPP入札単価の自動最適化を促します。イベント期間中の活用は積極的に行い、CPC単価の必要以上の高騰を防ぐため、イベント中はランク別入札最適化機能をオフにするのがおすすめです。また、イベント終了後は全体的なCPC単価を通常の水準に戻すことも忘れないようにしましょう。

ポイント6:パフォーマンスレポートを活用してRPP運用を継続的に最適化する

RMSのパフォーマンスレポートで「全商品レポート」や「全キーワードレポート」をCSVでダウンロードし分析を行うことで自社での改善サイクルを確立しましょう。まずは1週間に1回レポートを確認して、改善アクションを行うことを推奨します。  

レポートを確認する際は商品別またはキーワード別に以下の指標に注目しましょう。

ROAS (費用対効果)

ROAS = 広告経由売上 ÷ 広告投資額
投下した広告費に対して、どれだけ売上として返ってきたかを表す指標。自社の粗利率から「目標ROAS」(損益分岐点)を算出し、それを基準に判断することが不可欠です。  

CTR (クリック率):CTR = クリック数 ÷ インプレッション数(表示回数)

広告掲載商品の(商品画像・商品名)の魅力度を示す指標。CTRが低い場合は検索結果上でのユーザーニーズと合っていない、または競合商材より魅力が劣っている可能性が高いです。広告クリエイティブや露出キーワードの改善が必要です。  

CVR (転換率):CVR = 購入件数 ÷ アクセス人数

広告をクリックした後の購入率を示す指標。CTRが高いのにCVRが低い場合には、問題は広告ではなく商品ページにあります。  

これらの指標を組み合わせて分析を行うことで、「ROASが低い商品は除外する、CPC単価を下げる」「CTRが低い商品は第一画像を改善する」「ROASは高いが表示機会が少ない商品はCPCを引き上げる、キーワード登録を行う」といった具体的な改善アクションにつなげられます。

ポイント7:限界CPCを把握して商品キーワード設定に活用する

RPP広告の活用をする中で、商品キーワード設定の活用方法や判断基準がわからないというお声をよく聞きます。その原因の一つとして、適切な入札CPCの基準がわからないという点が大きな要因になっていると考えられます。その際に有効なのが、自社の商品毎に限界CPCを把握することで許容入札単価の目安にできます。

限界CPC = 限界CPA ÷ 想定CVR

で算出することができます。限界CPCとは想定CVRを元に導き出すことのできる赤字にならないクリック単価の基準数値です。同様に限界CPAとは赤字にならない顧客獲得単価の基準数値です。

限界CPCはキーワード別CPCを設定する際に特に参考にすることができます。具体的にはRMS>商品・キーワード設定タブに入ると、候補キーワード毎に目安CPCが表示されています。目安CPCは候補キーワード毎に大幅にバラツキがあり、40円台から数千円台まで幅広く表示されています。限界CPCを把握することで、適切な入札単価の基準を自社で持つことができます。

まとめ

本記事ではRPP広告の費用対効果を改善する上での重要ポイントを7つにまとめ紹介しました。重要ポイントの7点を以下で再度まとめていますので、自社のRPP広告の改善のヒントに繋げていきましょう。

  1. RPP広告の基本ルールを理解する
  2. 「除外設定」で低パフォーマンス商品を排除する
  3. CTRを改善してクリック単価を下げる
  4. CVRを改善してROASを最大化する
  5. 楽天イベントや「5と0のつく日」に入札を強化する
  6. パフォーマンスレポートを活用してRPP運用を継続的に最適化する
  7. 限界CPCを把握して商品キーワード設定に活用する

PP広告は楽天市場の集客を左右する重要な検索連動型広告で、攻略には欠かせません。RPP広告を攻略することで、自社の広告効果最適化、また自然検索流入のアップを狙いましょう。

楽天市場の分析と広告改善には「Nint ECommerce」も活用しよう

RPP広告の効果を高めるためには、広告運用の調整だけでなく、市場全体の動きや競合状況を把握することも重要です。
どのカテゴリで需要が伸びているのか、競合がどの商品に注力しているのかといったデータをつかむことで、広告戦略の優先順位を見極めやすくなります。

「Nint ECommerce」は、楽天市場をはじめ主要ECモールの販売データを可視化できる分析ツールです。
カテゴリ全体のトレンドや競合店舗の販売状況を把握できるため、「どの商品に広告投資すべきか」「どこで差別化すべきか」といった判断をサポートします。

👉 RPP広告の運用改善と売上拡大を両立させたい方は、ぜひNint ECommercをご活用ください。

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この記事を書いた人

村井宏海
EnterCommerce株式会社 代表取締役

学生時代にエンタメスタートアップの関西での事業立ち上げに参画。大学卒業後、楽天のECコンサルタントとして累計1,000社以上のEC事業支援に携わり、楽天賞を複数回受賞。その後、事業戦略部門でファッションEC事業立て直しプロジェクトに携わり、様々なプロジェクトを横断的にリード。17LIVE株式会社に入社し、ライブコマース事業「HandsUP」の事業責任者として立ち上げから携わり、国内導入数No.1のライブコマースサービスへの成長を牽引。2024年末に退職し、ソーシャルコマースをやライブコマースを支援するEnterCommerce株式会社を創業。

Nint ECommerceに関して

日本国内のEC市場の約7割を占める3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の売上・販売数量をモール別、ジャンル別、ショップ別、商品別に分析できる画期的なツールです。Nint ECommerceを活用いただくことで、以下のイベント対策を効率的にサポートしています。

活用例

商品在庫(SKU単位)の拡充
 競合価格を見ながら自社の販売価格を設定
 競合のポイント倍率を見ながら自社のポイント倍率を設定
 商品名(商品情報)での差別化
 検索露出(RPPなど)の強化

Nint ECommerceを活用することで、ECビジネスチャンス創出に役立ちます。ご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりNint ECommerceの詳細をご確認ください。

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【出典:「楽天RPP広告とは?仕組みと費用対効果を改善する7つの運用ポイント」(2025年8月21日公開)】
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