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【2025年8〜10月】洗濯用品市場レポート|需要と単価上昇の傾向

#市場規模 #マーケティング #販促ノウハウ #ECデータ

2025年8月から10月における洗濯用品市場は、販売数量ベースでは前年を下回る調整局面となりましたが、平均単価(ASP)の上昇により市場全体の売上規模の縮小幅は限定的となりました。カテゴリ別では、衣類ケアへの関心の高まりを背景に「洗濯ネット」が二桁成長を記録したほか、主力である「物干しスタンド」が堅調に推移しています。

本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

洗濯用品の市場規模

2025年8月〜10月の期間における洗濯用品市場の市場規模は以下の通りです。前年の特需的な動きからの反動や買い替えサイクルの影響を受け、全体としては落ち着いた推移を見せていますが、単価の上昇が市場の質的変化を示唆しています。

  • 3ヵ月合計販売金額(GMV)約12.7億円(前年同期比 ▲3.4%)
  • 販売数量約41.6万個(前年同期比 ▲6.1%)
  • 平均販売価格(ASP)約3,049円(前年同期比 +2.9%)

販売数量が減少する一方で、平均単価は約3,000円台へと上昇しました。これは、低単価な消耗品の買い控えというよりも、機能性の高い物干し用品や、特定の悩み解決に特化した高付加価値商品へのシフトが進んでいることが要因と考えられます。

洗濯用品市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド

本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。

カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)

市場全体では微減傾向ですが、カテゴリごとの明暗は分かれています。特に「洗濯ネット」の大幅な伸長が目立ち、衣類を大切に扱うためのツールへの投資が増加しています。

  • 物干しスタンド

構成比 24.58%(前年同期比 +0.80%)| 平均販売価格 約5,772円

  • ランドリーラック

構成比 14.39%(前年同期比 ▲1.97%)| 平均販売価格 約7,095円

  • 物干しハンガー

構成比 12.36%(前年同期比▲0.93%)| 平均販売価格 約1,807円

  • 洗濯ネット

構成比 9.03%(前年同期比 +1.67%)| 平均販売価格 約1,491円

  • 物干し竿

構成比 7.51%(前年同期比 ▲1.16%)| 平均販売価格 約4,540円

製品開発のトレンド

大きな成長を見せたのは「洗濯ネット」であり、前年比で約1.67%増と躍進しました。これは、大切な衣類を長く着るためのケア意識の高まりや、型崩れ防止などの高機能ネットへの需要シフトを反映しています。一方で、「ランドリーラック」や「物干し竿」は前年の需要一巡感から調整局面に入っていますが、主力である「物干しスタンド」はシェアトップを維持しており、室内干しやスペース有効活用への底堅いニーズが継続しています。

洗濯用品市場の価格帯別販売構成と販売戦略

ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。

価格帯別の販売構成について

洗濯用品市場は、日常的に買い替える低価格な消耗品と、耐久消費財としての側面を持つ中〜高価格帯の什器類で、明確に役割が分かれています。

低価格帯(〜約2,599円)売上構成比:約27%

洗濯ネット、ハンガー、ピンチ類などの消耗品が中心です。販売数量の大部分を支えるボリュームゾーンであり、買い替え需要が頻繁に発生します。

中価格帯(約2,600円〜約13,000円)売上構成比:約62%

市場の売上の6割以上を占めるボリュームゾーンです。一般的な物干しスタンドや機能性ラックが含まれ、特に3,900円〜13,000円の価格レンジに需要が集中しています。

高価格帯(約13,001円〜)売上構成比:約11%

デザイン性の高いランドリーラックや、大容量・高耐久の物干しシステムが該当します。構成比としては限定的ですが、空間演出や家事効率化を求める層からの指名買いが多いセグメントです。

価格帯別の販売戦略について

低価格帯

単価の下落を防ぐため、洗濯ネットやハンガーなどは「まとめ買い」や「用途別セット」での提案により客単価の向上を図る施策が有効です。また、抗菌・防臭機能や、時短につながるワンタッチ取り込み機能などを訴求し、単なる消耗品からの脱却と高付加価値化を進めることが重要です。

中価格帯

売上の大半を占めるこの価格帯では、日本の住宅事情に合わせた「省スペース」かつ「インテリアを損なわないデザイン」が購買の決定打となります。使用時の利便性だけでなく、収納時のコンパクトさや、部屋に置いたままでも生活感が出にくいスタイリッシュさをアピールし、他社製品との差別化を図る戦略が求められます。

高価格帯

1万円を超える高価格帯製品は、機能性だけでなく「家事の質を上げる」「空間を美しく見せる」といった体験価値が重視されます。耐久性や設置の安定性といったスペックの信頼感をベースに、実際の利用シーンやインテリアとの調和をイメージさせる高品質なクリエイティブで、指名買いを誘発するブランディングが必要です。

(参考)ジャンル別価格分布

Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce

価格帯別の販売戦略について

本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。

今後の展望

短期的には、年末の大掃除シーズンに向け、古くなったハンガーやネットの買い替え需要、および収納環境を見直すためのラック類の動きが活発化すると予測されます。中長期的には、気候変動や花粉対策による「部屋干し」の常態化が進むため、室内での景観を損なわないデザイン性の高い物干しグッズや、乾燥効率を高める関連アイテムが市場を牽引していくでしょう。

市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!

詳細な洗濯用品市場の分析や、競合各社の動向把握には、ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」が役立ちます。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、自社のポジショニング確認や次なる一手にご活用ください。

また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、変化の速いEC市場において、迅速かつ精度の高い意思決定をサポートします。

調査概要

  • 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
  • データソース:Nint ECommerce
  • 対象カテゴリ:洗濯用品

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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【出典:「【2025年8〜10月】洗濯用品市場レポート|需要と単価上昇の傾向」(2025年12月5日公開)】
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