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【2025年8〜10月】バッグ市場レポート|「アクセサリー」が伸長

#市場規模 #マーケティング #販促ノウハウ #ECデータ

2025年8月から10月におけるバッグ市場は、前年と比較して市場規模の縮小が見られ、調整局面を迎えました。主力のレディースバッグやスーツケースが苦戦する一方で、手持ちのアイテムをアレンジする「バッグ用アクセサリー」が伸長するなど、消費者の関心が「新規購入」から「既存品の活用・アップデート」へと一部シフトしている様子がうかがえます。

本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

バッグの市場規模

2025年8月〜10月の期間におけるバッグ市場の規模は以下の通りです。販売数量の大幅な減少が響き、市場全体の売上規模は前年を下回りました。

  • 3ヵ月合計販売金額(GMV)約227億円(前年同期比 ▲11.5%)
  • 販売数量 約307万個(前年同期比 ▲16.3%)
  • 平均販売価格(ASP)約7,398円(前年同期比 +5.8%)

市場全体では、販売数量が2桁減と大きく落ち込んだことが売上減少の主因となりました。一方で、平均販売価格(ASP)は上昇しており、物価上昇による価格転嫁や、比較的高単価な商品の構成比維持が影響していると考えられます。買い控えの動きがある中で、購入される商品の単価は上昇傾向にあります。

バッグ市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド

本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。

カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)

カテゴリ別に見ると、市場の半数を占める「レディースバッグ」の落ち込みが目立ちますが、小規模ながら成長を見せるカテゴリも存在します。

  • レディースバッグ

構成比 50.3%(前年同期比 ▲14.7%)| 平均販売価格 約8,778円

  • スーツケース・キャリーバッグ

構成比 17.2%(前年同期比 ▲9.5%)| 平均販売価格 約12,382円

  • メンズバッグ

構成比 16.6%(前年同期比 ▲6.4%)| 平均販売価格 約12,226円

  • 男女兼用バッグ

構成比 9.5%(前年同期比 ▲10.9%)| 平均販売価格 約5,324円

  • バッグ用アクセサリー

構成比 4.3%(前年同期比 +3.0%)| 平均販売価格 約2,120円

製品開発のトレンド

主要カテゴリが軒並み前年割れとなる中で、「バッグ用アクセサリー」が唯一プラス成長を記録しました。バッグチャームやショルダーストラップ、スカーフなど、手持ちのバッグに個性を加えたり、機能を拡張したりするアイテムへの関心が高まっています。本体の買い替えサイクルが長期化する中で、こうした「プラスワン」のアイテムによる単価アップやクロスセルが、今後の製品開発の鍵となりそうです。

バッグ市場の価格帯別販売構成と販売戦略

ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。

価格帯別の販売構成について

価格帯別の動向を見ると、低価格帯が市場のベースを支えつつも、高価格帯が一定のシェアを維持しており、二極化の傾向が見られます。

低価格帯(〜約3.8万円)売上構成比:約70%

販売数量の大部分を占めるボリュームゾーンです。デイリーユースのバッグやエコバッグ、アクセサリー類が中心となります。

中価格帯(約3.8万円〜約11.5万円)売上構成比:約12%

機能性を重視したビジネスバッグや、国産ブランドなどが含まれる価格帯です。

高価格帯(約11.5万円〜)売上構成比:約18%

ラグジュアリーブランドや高品質なトラベル用品が該当します。構成比としては約2割近くを占め、高単価商材の需要は底堅いと言えます。

価格帯別の販売戦略について

低価格帯

買い控えの影響を受けやすい層に対し、成長している「アクセサリー」とのセット提案や、用途の多さを訴求し、割安感を演出する施策が有効です。

中価格帯

機能性や耐久性を重視する層に対し、長く使える品質の良さや、オンオフ兼用できる汎用性をアピールし、コストパフォーマンスの高さを伝えます。

高価格帯

ブランド価値やステータス性を重視する層に向け、ストーリー性のあるコンテンツ展開や、特別なギフト需要を喚起するプレミアムな見せ方が求められます。

(参考)ジャンル別価格分布

Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce

展望予測とバッグ市場を読み解くヒント

本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。

今後の展望

短期的には、年末のギフトシーズンや帰省・旅行需要に向け、スーツケースやギフト用バッグの回復が期待されます。中長期的には、節約志向の継続により「長く使える良いもの」への選別意識がさらに強まると予測され、リペアサービスやカスタマイズ性など、製品寿命を延ばす付加価値の提案が重要になるでしょう。

バッグ市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!

変化の激しいバッグ市場で勝ち抜くためには、経験や感覚に加え、『データ』に基づく客観的な判断が重要です。ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、競合製品が『売れている理由』や市場のトレンドを可視化します。 

また、「AIインサイトレポート」なら、膨大なデータから『今、注目すべき動き』をスムーズに抽出。チャンスを逃さず、次の一手を検討するための頼れるパートナーとして、貴社のEC戦略を力強くサポートします。

調査概要

  • 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
  • データソース:Nint ECommerce
  • 対象カテゴリ:バッグ

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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【出典:「【2025年8〜10月】バッグ市場レポート|「アクセサリー」が伸長」(2025年12月4日公開)】
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