在庫も時間も無駄にしない。仕入れ判断が変わるデータ活用

企業概要

本事例の企業は、従業員20～50名規模の小売事業者です。アパレルやファッション雑貨を中心に、型番商品を主軸としたラインナップを展開しています。限られた人員で仕入れから販売戦略までを一気通貫で担う少数精鋭体制が特徴で、スピーディな意思決定と市場対応力を強みとしています。

今回は、仕入れやマーチャンダイジングを担当されているご担当者様に、勘や経験に頼っていた仕入れから、データを基盤にした判断へとシフトしていった経緯を伺いました。

勘と経験に頼った仕入れの限界

導入前の仕入れ判断は、どうしても勘や経験に頼る部分が大きくありました。毎日のようにランキングを追いかけたり、競合の販売状況を一つひとつ手作業で調べたりと、情報を集める努力は続けていましたが、得られるものは断片的で不十分でした。
「去年この商品が売れたから今年も仕入れておこう」といった過去実績に基づく読みや、「この価格帯なら売れるはず」という直感に頼る場面も多く、在庫を積みすぎて資金を圧迫したり、逆に機会を逃して売れる商品を仕入れ損ねたりすることもありました。

仕入れは企業の利益を左右する最重要の領域であり、ここでの判断ミスはそのまま損益に直結します。だからこそ「もっと確かなデータを根拠にした仕入れがしたい」という思いが強くなり、解決策を探すようになりました。

決め手はシンプルに使えること

Nint ECommerce（以下Nint）を選んだ理由は、シンプルに「欲しい情報が一目でわかる」点でした。
仕入れの現場では、複雑な操作や余計な加工に時間をかける余裕はありません。必要なのは、商品が「いつ・どれだけ・いくらで売れたか」という基本情報を即座に確認できること。これは仕入れ判断の精度を上げるうえで欠かせない要素でした。

特に便利だったのがChrome拡張機能です。見ている商品ページからそのまま売上推移や価格変動を確認できるので、別ツールを立ち上げたり、データを持ち帰って整理したりする必要がなくなりました。調査から意思決定までのスピードは一気に上がり、仕入れサイクルを短く回せるようになりました。

また、キーワードごとに市場全体の動きを分析できる機能も重宝しています。型番商品を扱う当社にとっては「どの商品群がどの程度動いているのか」を数字で把握できることが重要で、それが利益予測や発注精度を高める大きな支えになりました。

販売実績と価格推移で、仕入れ精度向上

導入後は、仕入れや販売戦略のいろいろな場面でNintを活用するようになりました。

仕入れ判断では、直近30日間の販売実績を必ず確認するようにし、動きの鈍い商品を仕入れるリスクを抑えています。プライシングでは、競合の価格変動を追いかけることで「今は強気の価格でいくべきか」「早めに調整すべきか」を判断する材料になっています。

競合調査でも大きな効果がありました。ランキングの上位だけでは見つけられない「目立たないけれど実は売れている商品や店舗」を発見できるようになり、仕入れの幅が広がりました。これはバイヤーとしての視野を広げる意味でも大きな収穫です。

さらに、広告や販促施策を立てる際も、仕入れデータをすぐに活用できるようになりました。仕入れと販売施策が同じデータを基盤にしてつながることで、戦略全体の一貫性が増しています。
社内会議でも、感覚や主観に頼らず具体的な数値を示しながら議論できるため、場の進行がスムーズになり、合意形成にかかる時間も短くなりました。

在庫リスク削減と調査時間短縮に成功

Nintを導入したことで、仕入れの精度は目に見えて改善しました。

在庫リスクを減らせたことにより、資金繰りの安定性が高まりました。利益予測や戦略立案のスピードも上がり、会議の場でも「数字で語れる」ようになったため、説得力が増しました。バイヤーとして提案の自信がつき、社内の意思決定もスピーディになっています。

また、これまで半日かかっていた市場調査が数十分で終わるようになり、空いた時間を次の商品開発や販促の準備に充てられるようになりました。日々の業務が効率化されただけでなく、仕事の質そのものも高まっている実感があります。
結果として、仕入れ判断から販売戦略までの一連のプロセスにおいて、スピードと精度の両立が可能になりました。

今後に期待すること

もちろん課題もあります。現状はランキングやタグIDに依存する場面もあるため、より柔軟に商品群やキーワード単位でKPIを確認できるようになると、活用の幅がさらに広がると感じています。

また、最近登場したNint AIにも注目しています。従来はデータを集めてから自分たちで読み解く必要がありましたが、AIが現場の声を取り入れて進化していけば、欲しい答えにすぐアクセスできるようになるはずです。日々の業務に即戦力として組み込めるようになれば、仕入れから販売戦略までの意思決定がさらに速く、的確になると期待しています。

データで自信ある仕入れ判断へ

仕入れは企業の成否を左右する大きな要素です。だからこそ、感覚や経験だけに頼るのはリスクが大きいと思います。データに裏付けられた判断ができれば、自信を持って商品を選べるだけでなく、社内の理解も得やすくなります。

私たちも、データを使い始めてからは仕入れのスタイルが大きく変わりました。同じように悩んでいる方にとって、この経験が次の一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。