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生活家電市場の現状と動向 | 過去のECデータから見る購入需要期は?



生活家電はECサイトで取り扱う、主要製品といって良いでしょう。ただ、事業者やEC担当者の方にとって悩ましいのはどうやって売れ筋家電を選ぶか、ということでしょう。世の中のトレンドに目を配りながらも、自社のユーザーにとって魅力的な生活家電をピックアップするのは至難の業です。
ここでは、悩みを抱える家電業界のEC担当者の方を対象に、生活家電市場の動向とEC化率、生活家電のEC化率が高い要因、ECモールごとの生活家電の出品数を比較します。

【目次】
▼生活かでん市場の動向とEC化率
▼生活家電のEC化率が高い要因
▼3大ECモールにおける生活家電の市場規模と販売数量の推移
▼生活家電の市場動向を考慮に入れ、戦略を立てよう

生活家電市場の動向とEC化率

最初に、生活家電市場の動向とEC化率について解説します。

日本国内における生活家電の市場規模

2021年、日本国内における家電ECの市場規模は2兆4,584億円で、前年比4.66%の増加でした。

2014年、EC市場の規模は1兆2,706億円と今のほぼ半分でしたが、年を追うごとに市場規模は拡大し、2020年の新型コロナウイルス感染症に大幅な伸びを記録しました。2019年に1兆8,239億円だったのが、2020年には一気に2兆3,489億円まで増加したのです。

では、いわゆる生活家電にはどんなものが含まれるのでしょうか。経済産業省によると、生活家電には「調理家電」「家事家電」「季節家電」「理美容家電」の4つが含まれるとのことです。

それぞれに含まれる家電は以下の通りです。

・調理家電
冷蔵庫・冷凍庫、電子レンジ・オーブンレンジ、電気ポット・電気ケトル、IHクッキングヒーター・IHコンロ、炊飯器、コーヒーメーカーなど。

・家事家電
掃除機、ミシン、洗濯機など。調理家電や家事家電は炊事や洗濯など暮らしに関わる家電であり、「白色家電」と呼ばれることもあります。それに対して、映像音響機器は「黒物家電」と呼ばれます。

・季節家電
使用が季節性のあるもので、エアコンや空気清浄機、布団乾燥機、扇風機、ホットカーペットなど。

・理美容家電
理容や美容に関わる家電を含み、メンズシェーバー、眉・フェイスシェーバー、ヘアドライヤー、電動歯ブラシ、ヘアアイロン、美顔器・スチーマーなど。

コロナ禍の消費は、いわゆる「巣ごもり需要」が特徴です。「巣ごもり需要」とは、外出を控える行動様式のなかで、人々が家の中で快適に過ごすことを重視した消費傾向のことです。そして、生活家電はさまざまな製品の中でも「巣ごもり需要」によって売上を大きく伸ばした分野といえるでしょう。

また、多くの企業でテレワークが導入されたため、パソコンやWebカメラ、ヘッドホンやヘッドセットの売上も伸びました。

巣ごもり需要によって、売上を伸ばした生活家電の中に空気清浄機があります。空気清浄機は上記分類によると、「季節家電」に含まれます。しかし、コロナ禍においては、季節に関係なく、売上が爆発的に伸びたことから、少しでもコロナウイルスの家庭内感染を防ぎたいという消費者の切実な願いが伺えます。

生活家電のEC化率

国内における生活家電全体の市場規模は6兆4,474億だったため、EC化率は38%に達しました。生活家電、AV 機器、PC・周辺機器など、家電製品とECの相性は良いことが分かります。

生活家電のEC化率が高い要因

ここでは、生活家電のEC化率が高い3つの要因について説明します。

同性能の家電を探す際にもネット上での比較検討ができる

生活家電のEC化率が高い1つ目の要因は、同性能の家電を探す際にネット上での比較検討ができるからです。

家電の中には、エアコンや冷蔵庫など高価格帯の商品も多いため、多くのユーザーがネット上でさまざまなサイトを活用することで少しでもお得な買い物をしようとします。そうしたニーズを満たすべく、ネット上にも比較記事や比較サイトが多くあります。中には、単なる比較記事だけでなく、家電の商品説明やレビューを行うYouTube動画も多く、商品の特徴や情報を把握しやすくなっています。

家電のEC化率の向上により困難を強いられているのが大手家電量販店です。大手家電量販店もEC参入をやむを得ない状況に立たされていますが、ECではどうしても安さを追求する価格競争に巻き込まれてしまい、利益率が下がってしまうジレンマがあります。そのため、一方でECに目配せしつつも、各量販店ともECではできない実店舗ならではの付加価値を付けることを目指しています。

また、大手家電量販店の中には、早い段階から消費者のショールーミングを推奨する動きが見られます。ショールーミングとは、消費者が実店舗に足を運び、商品の価格や性能、使い心地などを確認した上で、実際の購入はオンラインで済ませることをいいます。消費者が実店舗でECサイトの平均価格をリアルタイムで電子棚札と連動させるなどして、比較できるような工夫をしている店舗もあります。

大型家電などは持ち帰りの手間が省ける

生活家電のEC化率が高い2つ目の要因は、大型家電などは持ち帰りの手間が省けるからです。

大手家電量販店で買い物をする場合、まず近隣の店舗に足を運ぶ手間がかかりますし、さらに大型家電の場合、持ち帰るのが大変です。冷蔵庫や洗濯機はまず自家用車では持ち帰れないため、店舗に配送を依頼することになります。場合によっては配送料が別途かかることになり、せっかく安く家電を買えてもお得感が失われてしまいます。

この点、ECで買い物をすれば、表示価格に配送料が含まれていることがほとんどですし、ワンクリックでさまざまな手間をかけることなく、自宅まで配送してもらえるメリットがあります。

どこのお店で買っても品質に違いが出ない

生活家電のEC化率が高い3つ目の要因は、どこのお店で買っても品質に違いが出ずらいからです。

食料品や衣料品と異なり、家電にとって重要なのは「どこのお店で買うか」よりも「どこのメーカーの製品を買うか」です。つまり、購入を考えている家電のメーカーや製品が高い評価を受けて入れば、どこのお店で買っても品質は変化しないため、できるだけ安く購入しようという消費者心理が働きます。

3大ECモールにおける生活家電の市場規模と販売数量の推移

ここでは、日本の大手ECモールごとの生活家電の市場規模と販売数量の推移を調べます。
外出制限の影響で、コロナ禍ではEC市場は大きく成長しました。その中でも目立つジャンルは生活家電ジャンルです。巣ごもり需要に関連した商品のほか、大型家電も各社の配送工夫により、ECモールの主要商品として根付いたと言えます。

2019年のECモールの生活家電の中で、最も販売数量が多かったのは掃除機でしたが、2022年には洗濯機や冷蔵庫になっています。このように大型家電の売れ行き順調は同ジャンルの平均単価にも大きく影響し、市場全体の成長に大きく貢献しています。

生活家電の市場動向を考慮に入れ、戦略を立てよう

コロナ禍の空気清浄機のように、世の中の動向と消費者の心理は緊密に連動しています。そのため、最新のトレンドをいつもモニタリングし、売上が伸びそうな生活家電を選ぶことがECにおける成功につながるはずです。





作成者
趙 恵善(Cho Hyesun, ERP Div.マーケティングUnit)
編集者
Nint Blog 編集長 加藤 洋平(Kato Yohei, ERP Div.カスタマーサクセスUnit)


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