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ECサイトの売上アップに重要な3つの要素と具体的な10の施策

#EC #マーケティング

ショップやモール型などさまざまな手法はありますが、いずれのEC担当者の至上命題といえば「売上アップ」ではないでしょうか。LTVの向上、コスト削減、新規顧客の獲得など成果を上げ続けるための指標や方法はたくさんあり、悩みを抱いている人も少なくないでしょう。

今回は、ECサイトの売上アップに欠かせない要素について、具体的な10の施策を紹介しながら解説します。幅広い商品やBtoB、BtoCといったビジネス形態で役立つ基礎知識なので、ぜひ確認してみましょう。

ECサイトの売上アップ施策を実施する前にやるべきこと

ECサイトの売上アップは施策の実施・運用だけでなく、その事前の備えも大切です。そのなかでも特に注力して欲しい「分析」と「市場調査」について解説します。

自社ECサイトの分析

ECサイトの分析には、その対象によって「自社サイト分析」と「競合サイト分析」に大別できます。どちらも重要ですが、まずは現状を把握して競合サイトとの比較軸を明らかにするためにも「自社サイト分析」の実施、強化を行いましょう。

具体的には、ECサイトや各商品ページの「アクセス数」、どのような商品が好まれているのか知るための「ユーザーニーズ」、顧客一人当たりの購入額を示す「顧客単価」、広告運用やキャッチコピーなどの改善に直結する「クリック率」などは要チェックです。

季節やキャンペーン、社会的な情勢によって各指標の推移は異なるため、目的に合わせて収集するデータの期間や種類を整理して分析する必要があるでしょう。

上記のようなデータを活用して分析することで、自社のECサイトの問題点や改善点の可視化につながります。また、EC担当者が日々の業務で「肌感」で感じる課題も、数字やグラフで提示できるため、上長などへの説明もしやすいというメリットもあります。

また、自社サイトの現状によっては細かな改善よりも、運営そのものの基本戦略を見直すべきケースもあります。具体的には、ユーザーの属性などの「ターゲティング」、競合製品やショップに対する自社商品の「ポジショニング」、PRすべき「USP(Unique Selling Proposition)」などが挙げられます。

競合ECサイトの分析

売上アップを図るためには、競合と比較検討された際に「選ばれる」商品とサイトづくり、PR方法を実現しなければなりません。そのために必要な自社サイトの強みや弱みを明確化するのに重要なのが「競合ECサイトの分析」です。

競合ECサイトの分析方法としては、競合サイトのレビューや評価を収集して分析する「レビュー調査」が代表的です。また、実際に競合サイトを使って購入することで、サイトの導線、カート・決済機能、カスタマーサポートなどの情報を取得する「購入調査」も、外側からでは分かりにくい競合サイトの状況を知る有効な手段です。

商品やサービスの市場調査

ECサイトだけでなく、提供する商品やサービスの市場調査を行い、適切なポジショニングなども図る必要があります。実際、競合ECサイトの分析では商品そのものの価格、配送料、ラインナップなどの情報を収集して、比較検討に役立てるケースは珍しくありません。

市場調査は、数値で表せる「定量調査」と数値で示すことが難しい「定性調査」に大別できます。市場調査を行う際は、自社の商品・サービスなどに適した手法で行う必要があるでしょう。それぞれの特徴と代表的な手段は以下の通りです。

市場調査の具体的な方法

分類定量調査定性調査
分析対象のデータ定量データ(数値データ)定性データ(数値化できないデータ)
データの例・売上高
・市場占有率(シェア率)
・商品を選んだ理由
・パッケージデザインの印象
代表的な手法・ネットリサーチ
・郵送調査
・ホームユーステスト
・インタビュー調査
・行動観察調査

ECサイトの売上アップで重要な3つの要素

定量データである「アクセス数」、「購入率」、「客単価」は、ECサイトだけでなく幅広いマーケティング手法にとって欠かせない要素です。それぞれの特徴について紹介します。

アクセス数

アクセス数とは、全てのユーザーがECサイトを「訪問した回数(PV数)」を指すこと一般的です。サイトを訪れたユーザー数(人数)を表す数値ではないので注意が必要です。例えば、10人が5回ずつサイトを訪問した場合、ユーザー数は10人、アクセス数は50回となります。

他にもサイトを訪問してから、離脱するまでを計測する「セッション」や「クリック率」といった細かな指標はたくさんあります。ただ、アクセス数はそのなかでも特に分かりやすく、サイトの現状を把握できるうえ、多くの指標を計測するための「分母」になります。そのため、ECサイトへの集客を増やし、売上アップを図るには重要な要素といえるでしょう。 そのため、例外はありますが基本的にアクセス数が少ないECサイトは高い成果を上げるのは困難だと考えられます。

購入率

購入率とは、サイトを訪れたユーザーのうち、実際に商品を購入した人の割合を示す言葉です。マーケティングで使われることが多い「CVR(コンバージョン率)」と同義です。売上に直結する数字なので、ECサイト運営においてはKPIに設定されることが多く、特に「アクセス数や訪問者数は多いが利益が少ない」といった際に、購入率を分析して売上につなげるための施策の効果検証などを行う必要があります。

・購入率の計算式
 購入率(%)=商品購入者数÷来店者数×100

客単価

ユーザーが1回の買い物で支払う金額の平均額のことを「客単価」といいます。客単価が高くなれば、当然、売上もアップするため、ECサイトでは重点的に計測されている要素の1つです。商品の単価を上げれば客単価の向上が見込める一方、購入する顧客数が減少して結果的にマイナスになるリスクも伴います。そのため、ニーズの最適化を図ることが大切といえるでしょう。

・客単価の計算式
  客単価=売上額÷顧客数

ECサイトの売上アップにつながる10の施策

アクセス数、購入率、客単価を向上させることは売上アップの実現において重要な役割を持ちます。以下では、それぞれを改善するための具体的な施策について紹介します。

アクセス数(集客)に関する施策

ECサイトの売上向上のために、まず改善すべきポイントは「アクセス数」です。一般的にアクセス数を増やす施策のことを「集客施策」といい、成功すればサイトを訪問する人の増加につながるため、商品を購入してもらう確率が高まります。

・(1)SEOを行う

SEOは「検索エンジン最適化」といいます。GoogleやYahoo!などの検索結果に自社サイトを表示させ、流入を増やす手法です。自社の商品やサービスと親和性の高い検索キーワードの選別が重要なポイントです。「商品名」のほか「商品カテゴリー おすすめ」といった複数のキーワードを組み合わせて上位表示を図ることが一般的です。

また、SEOによる流入数を増やすにはコラムページなどのコンテンツの量が一定数必要です。そのため効果が出るには時間を要するケースが多いですが、中長期的に安定した集客の確保につながるのが大きなメリットです。

・(2)Web広告を出稿する

Web広告を出稿することで、従来とは異なるチャネルからユーザーの集客を図れます。代表的なWeb広告の種類は以下の通りです。

・リスティング広告:検索エンジンに掲載する

・アフィリエイト広告:アフィリエイターが商品・サービスを宣伝。成果報酬型

・SNS広告:SNSに掲載する

・記事型広告:Webメディアなどに取材してもらい、掲載する広告

・(3)SNSを活用する

Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSでアカウントを作成して、自社の商品やサービスなどを周知し、ECサイトへの流入を増やす方法です。直接的なPRは効果が薄いため、各SNSユーザーの特性や興味関心を抱くポイントに合せた情報発信が大切です。

また、フォロワー数が情報の拡散につながる非常に大きな要素となっているため、定期的な投稿やキャンペーンの実施なども重要です。インフルサーを活用した「インフルエンサーマーケティング」を行うことで、効率的に自社の商品・サービスの認知向上を図る企業も少なくありません。

購入率(CVR)に関する施策

前述の通り、購入率はウェブマーケティングにおいては「CVR(コンバージョン率)」といいます。また、顧客転換率とも呼ばれ、購入・申し込みなど自社の目的に応じた行動に至るユーザーの割合を示します。ECサイトにおいては、ユーザーの購入率と同義なので、その改善につながる4つの施策を紹介します。

・(4)デザイン(UX/UI)を改善する

ECサイトならではの購入率に関わるポイントとしては「サイトのデザインと機能性」が挙げられます。特に「UX」と「UI」については、自社と競合サイトを分析して改修して最適化を図る必要性が高いです。

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーが自社が提供するサービスで感じられる「体験」のことです。商品はもちろん、ECサイトのコンテンツやサポート体制など全てが含まれます。

UI(ユーザーインターフェイス)は、ECサイトの使い勝手や機能を指します。ユーザー視点で、WebアプリやECサイトの画面がより分かりやすく、操作しやすいデザインにすることが求められます。近年ではスマホ、タブレット、PCなど閲覧するデバイスも多様化しているため、それぞれに合わせたデザインの必要が高まっています。

「購入ボタンの位置が分からない」、「会員登録まで時間がかかる」といったサイトデザインなどに問題があると、ユーザーが途中で離脱してしまう可能性が高まるため、購入率の向上にはUXとUIの改善が必要不可欠なのです。

・(5)商品情報を充実させる

ECサイトの利用者は競合サイトと比較検討することが一般的なため、「情報不足」は他社を選ばれることで購入率が悪化してしまう原因につながります。価格、規格はもちろん、ユースケースなど、カスタマーサクセスを意識した商品情報の充実を図りましょう。

・(6)ユーザーレビューを設置する

比較検討の際、重要なポイントになるのが「ユーザーレビューの有無」です。評価が高いのはもちろんですが、レビューがない商品とある商品だけでもユーザーからの信頼を獲得にとっては大きな違いとなります。

・(7)決済方法の選択肢を増やす

オンライン決済サービスやクレジットカード、銀行振込み、電子マネー、コンビニ決済、後払い決済など、多様化している決済方法に幅広く対応することで、見込み客の離脱と機会損失の防止を図れます。

客単価(ADT)に関する施策

客単価は「ADT (Average Dollar per Transaction)」といい、1会計あたりの平均売上高を示します。一人あたりの購入単価を向上させることは、ECサイト全体の売上向上に直結するので、ぜひ以下の施策を検討してみてください。

・(8)キャンペーンを実施する

ユーザーにとってお得なキャンペーンを実施すれば、一人当たりの購入数が増え、結果的に客単価を向上させることができます。具体的には「○○円以上の購入で送料無料」、「○個以上の購入でもう一つプレゼント」といったキャンペーンが挙げられます。また、ポイント付与や割引なども有効です。

・(9)クロスセル・アップセルを狙う

関連商品の購入を図る「クロスセル」やよりハイグレードな商品などを購入する「アップセル」も、客単価の向上を図るための代表的な施策です。具体的には「こちらの商品も選ばれています」といったレコメンドツールや、自社の商品と関連するページを見ている人に向けて広告を表示するリターゲティング広告が有効です。

・(10)リピーターを増やす

リピーターの増加は、客単価だけでなく一人の顧客が生涯で支払う金額「LTV(ライフタイムバリュー)」の最大化にもつながります。商品購入後のアフターサポートの充実はもちろん、DMやメルマガによる単純接触機会の増加もユーザーとの信頼性向上には欠かせません。

指標と計画に基づいたECの売上向上施策を実施しましょう

ネットショップなどのEC担当者の人に向けて、売上UPに必要な基礎知識を紹介しました。ホワイトペーパーやバナー作成、ディスプレイ広告、オムニチャネルの展開、トップページの改修、新しい商品ページの構築といった売上向上を実現するための施策はたくさんあります。ただ、やみくもに実施してしまうと、ターゲット層に効果的でなかったり、広告費用などの予算に対して十分に訴求できなかったりするリスクが高まります。

そのため、まずは自社・競合サイトの分析、業界の市場調査などをしっかりと行ったうえで、客単価アップ、リピート率・継続率改善などの目標を数値で定め、集客方法の見直しなどの施策を実行することが鉄則といえるでしょう。また、メール配信や広告運用などの手間を省くためにCRMといったITツールを活用した成功事例も少なくありません。

現状と目標を分かりやすく示したうえで、ユーザー目線でサイト上、商品を問わずアプローチすることがECサイトの売上アップを達成するうえで非常に大事なポイントだといえるでしょう。