コインチェックNEM流出事件でハードウェアウォレットの売上げはどう変化したか?

コインチェックNEM流出事件でハードウェアウォレットの売上げはどう変化したか

事件の背景

1月26日(金曜)未明、国内大手暗号通貨取引所であるコインチェック社から580億円相当のXEM(NEM)が流出したと報じられた。同日深夜に実施された記者会見では、何者かの不正アクセスにより保有していた暗号通貨が流失してしまった事実や暗号通貨を保管する取引所のセキュリティに不備があった可能性がある事なとが公表された。暗号通貨は一般的に取引所のウォレットで保管することは推奨されず、ハードウェアウォレットなどを勧める有識者が多い。今回は、楽天市場やAmazon.co.jpのデータを利用し、ハードウェアウォレットの販売動向がマーケットの成長と比例して どのように推移したのか、また事件後どのように変化したのかをできうる限りデータ化した。

※注意事項※

正規品では無いハードウェアウォレットにはマルウェアが仕掛けられているケースも確認されており、楽天市場やアマゾン(特にマーケットプレイス)での購入を筆者や弊社が推奨しているものではありません。またハードウェアウォレットの使用で発生したいかなる損害についても筆者や弊社が負うことはできません。さらに執筆記事は今回の事件に対して評価を行うものではなく、ハードウェアウォレットのEC市場での動向を提供することが目的です。

ハードウェアウォレットの販売動向

主要ECモールでのLedger Nano Sの販売データ

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主要ECモールでのTrezorの販売データ

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今回は推薦する声も多く有名なLedger Nano SとTrezorを取り上げることにした。上記のグラフは、Ledger Nano SとTrezorの国内主要ECモールでの販売額を時系列にしたものだ。それぞれのウォレットで対応可能な暗号通貨が違うが、マーケットの成長によって両製品とも急成長していることが分かる。この問題が発生する以前からリテラシーが高い人々は既にウォレットを入手していることも分かって頂けるだろう。

楽天市場でのLedger Nano Sの販売動向

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店舗名は非公開とし、Ledger Nano Sの販売ランキングをデータ化してみた。2017年11月までは各カテゴリで1000位以内に入る事はないが、11月上旬頃から「USBメモリ・フラッシュドライブ」などの小カテゴリから徐々にランキング入りし、マーケットが活況になった2017年の年末から年初にかけて「パソコン・周辺機器」などのランキングでも上位にランクインしている。1月26日の流出発生日に「パソコン・周辺機器」、「外付けドライブ・ストレージ」、「USBメモリ・フラッシュドライブ」の各カテゴリで1位となり。翌日には総合ランキングが99位まで急上昇している。その後商品の在庫切れの為ランキングは急落している。

総括

この記事を執筆している2月1日の夕方時点では流出事件は解決に至っていない(顧客の現金も暗号通貨も移動ができない状態が続いている)。取引所各社がより詳細なセキュリティ概要の公開をはじめており、これを参考に移動可能な現金や暗号通貨については対策することも必要だろう。筆者は保有する大半をハードウェアウォレットに移行済みであったが、一部を取引所のWEBウォレットに残しており被害を受けてしまった。取引所のセキュリティ(カウンターパーティリスク)を過信せず、今回紹介したハードウェアウォレットなども含め対策を進める必要がありそうだ。上記のような観点から、ハードウェアウォレットは市場拡大の可能性を秘めている。

この分析に用いたデータについて

この記事は株式会社Nintが提供するECデータ推計サービス 「Nint(ニント)」に基づき作成されています。記事中の数値はすべて「Nint(ニント)」 が独自のビッグデータ技術を用いて算出した推計値となり、紙面の特性上詳細なデータは省略しております。より詳細なデータをご希望の方や執筆記事にご意見のある方は、こちらからお問い合わせ下さい。なお、上記に展開されているすべての知的財産権等は株式会社Nintが保有しております。また転載・引用されたことにより、利用者または第三者に損害その他のトラブルが生じた場合、当社は一切その責任を負いません。記事を転載する場合はデータの出所を明記してください。
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