2018年楽天市場の福袋商戦から見えたこと

2018年楽天市場の福袋商戦から見えたこと

天候に恵まれた2018年の初売り。元日営業を行った西武池袋本店(東京・池袋)では福袋を求める客が長蛇の列を作った。訪日観光客の旺盛な消費意欲も相まって大手百貨店や総合スーパーの初売りも好調だったようだ。
オフラインでも未だ注目を集める福袋商戦。今回は国内ECの代表的なプラットフォームである楽天市場の推計データからその動向に追った。
※なお、楽天市場の福袋商戦は現在も継続中。今回は主に2017年11月~12月のデータを用いて分析を行なった。

カテゴリ別福袋販売動向

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上記は楽天市場内の第二階層に「福袋」というカテゴリを持つ商品の販売推移を表したものだ。多くのカテゴリで11月から商品販売が伸び始め12月にピークに達している。最も規模が大きいカテゴリはレディスファッションで12月に約3億円まで規模が拡大する。福袋の売上が最も拡大するのは12月だが、他の月でも福袋をセール品として扱う店は多く、レディスファッションでは7月に約2000万円ほどの売上が記録されている。

人気商品ランキング

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上記は商品名に「福袋」という明記がある商品の2017年12月度の販売順位をランキングにしたものである。各商品カテゴリの中に「福袋」のサブカテゴリが作られていない商品も多いが家電や食品を扱う企業など、新春を商機と捉えオリジナル商品を供給している企業が多いことが分かる。また上位20商品の平均値は4040円、中央値は6258円である。

カテゴリ別人気商品

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ここでは2017年11月〜12月までのカテゴリ別の人気商品を調べた。それぞれの販売金額は非公開としたが最も販売金額を持つ商品は、「三軒茶屋通信インナーウェア三恵」が販売する「2018年レディース下着福袋」だった。一方、評価が低い商品のレビューを確認すると、消費者の不満(例:予定日通りに商品が届かない、同じ商品が2枚入っていた等)が書き込まれている商品も散見された。中身が分からない楽しさがある福袋だが、不満を持つ消費者が出てしまうというコントロールの難しさを垣間見ることができた。

商品販売ランキング上位店舗の動向

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ここでは、商品ランキングで上位に入っている店舗の特徴を分析した。
上記の総合ランキングはこの店舗が扱う福袋の総合ランキング内の順位を示したものである。この商品は11月中旬からランキングが徐々に上昇し、12月最終週にトップ10にランクインしている。、12月15日、12月26日~12月31日にはトップ特集広告を追加で出稿しておりこれもランキングを上昇させる一因となっている。この商品は昨年度の福袋商戦でも高い成果を残していた。前述の通り福袋という商品の特性上ユーザーの不満は出やすいが、商品評価も高くレビューもポジティブな内容が多い。EC担当者にとっては参考にできる部分が多い店舗だと感じた。

総括

福袋の購入で発生する消費者の不満に楽天も対策を施している。「Rakuten Brand Avenue」の福袋特集ページを見ていると画面右手に「お洋服ブランドアイテム買い取ります」というポップアップが表示され「楽天買取」のページへ誘導経路を作り、商品を売却できるルートを作っている。
また、あるCtoCプラットフォームでは、購入した福袋の出品を促す目的でスマートフォンアプリのプッシュ通知が新年早々実施されていた。福袋商戦では、好みでない商品を交換する風景が思い出されるが、この光景も少しずつ減少していくだろう。Eコマースも引き続き成長が期待されるが、CtoCプラットフォームが新たな経済圏を拡大させている。

この分析に用いたデータについて

この記事は株式会社Nintが提供するECデータ推計サービス 「Nint(ニント)」に基づき作成されています。記事中の数値はすべて「Nint(ニント)」 が独自のビッグデータ技術を用いて算出した推計値となり、紙面の特性上詳細なデータは省略しております。より詳細なデータをご希望の方や執筆記事にご意見のある方は、こちらからお問い合わせ下さい。なお、上記に展開されているすべての知的財産権等は株式会社Nintが保有しております。また転載・引用されたことにより、利用者または第三者に損害その他のトラブルが生じた場合、当社は一切その責任を負いません。記事を転載する場合はデータの出所を明記してください。

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