中国で独身の日(シングルデー)に次ぐ大きなイベントとして近年注目されるのが6.18商戦である。各モール(例えば天猫国際は「輸入の日」)ともこのイベントを商機と捉え、キャンペーンを実施していた。今回は6.18商戦の天猫国際の動向を日本商品に絞って分析してみた。
天猫国際の売上構成とW11との規模比較
上記は6.18が行われた2017年6月の天猫国際における売上構成比とその売上規模を中国EC最大の祭典であるW11(シングルデー)と比較したものである。売上構成比は他の月とほぼ同じ傾向であり美容関連商材が半分以上を占め次いでマタニティ、食品/健康の順となっている。W11(シングルデー)と比較した場合その売上規模は約6割程度となっているものの、この数値は昨年の同時期の約2倍程になっておりプラットフォームの6.18に対するプロモーション施策が効果を出していると言えるかもしれない。
天猫国際のカテゴリ別週次売上データの比較
上記は2017年6月における天猫国際のカテゴリ別売上データを週次・月次と別けて表したものである。美容関連商材とマタニティ商材の売上規模が6月5日週から除々に増加し6月12日週にピークをつけていることが分かる。前年の同時期と比較すると、化粧品など一部のカテゴリは10倍程度成長しており、全カテゴリの合計値は2016年と比較して約3.7倍程度になっている。しかしながら人気商材が「美容関連」や「マタニティ/ベビー」となっておりカテゴリの順位に大きな変動は起きていないようだ。
天猫国際のブランド別ランキング
上記はブランド別に天猫国際の6月のデータを表したものである。上位10商品を見ていくと2位のFREEPLUS、7位のウテナや10位のドクターシーラボなど前月と比べて大きく売上規模を伸ばしている店舗が複数確認できる。FREEPLUSはカネボウの化粧品(スキンケアやベースメイク商品)ブランドであり198元(日本円で約3261円)で売り出されている洗顔フォーム(洗顔石鹸)に人気が出ており6月のランキングを急上昇させる一因となっている。またウテナも「大人の肌を和らげる贅沢ジュレのシートマスク」の売上上昇に伴いランキングを急上昇させる一因となっている。
天猫国際の店舗別ランキング
上記は店舗別の販売動向を表したものである。1位は天猫超市と呼ばれる公式ショップで、2位に資生堂、3位にFreePlus(カネボウ)と続く。ショップにより売上の変化率にバラツキがあるものの例えば資生堂では、5月最終週よりも6.18が実施される6月12日週では売上規模が約7倍になっている。また上位10店舗の売上変化率の平均値を計算すると約7.5倍であった。
天猫国際商品別ランキング
上記は天猫国際の人気商品をランキングで表したものである。1位は天猫国際で常連の美顔ローラー(説明文章によると使用は全身可能)で名古屋に本社を置く株式会社MTGが製造・販売する商品である。上位10商品中、美容関連商材は8商品となっており洗顔フォーム、クレンジングローション、日焼け止めなどがランクインしている。周知の事実ではあるが、直接肌に触れる商品であるという事が日本製に注目が集まっている結果と言えるだろう。
総括
今回は天猫国際の6.18商戦の分析を行った。分析の結果分かった事は以下の3つだ。①天猫国際の6.18商戦はW11(シングルデー)商戦に次ぐ規模になっている。②2016年6月のデータと比較すると、2017年6月における天猫国際の売上規模は約3.7倍まで拡大している。③ブランド別で分析すると美容関連商材で6月に売上を急上昇させたものが複数個確認できる。成長が続く中国EC市場の状況を今後もなるべくタイムリーにお伝えしていく。
この分析に用いたデータについて
この記事は株式会社Nintが提供するECデータ推計サービス 「Nint(ニント)」に基づき作成されています。記事中の数値はすべて「Nint(ニント)」 が独自のビッグデータ技術を用いて算出した推計値となり、紙面の特性上詳細なデータは省略しております。より詳細なデータをご希望の方や執筆記事にご意見のある方は、こちらからお問い合わせ下さい。なお、上記に展開されているすべての知的財産権等は株式会社Nintが保有しております。また転載・引用されたことにより、利用者または第三者に損害その他のトラブルが生じた場合、当社は一切その責任を負いません。